阪竹行政書士事務所
著作権

イラスト外注の契約書チェックを依頼したら

公開 2026.10.17更新 2026.10.17 著者: 阪口智紀(行政書士)

イラストレーターや制作会社にイラスト・素材を発注するとき、届いた契約書(発注書)をそのままサインしていいのか迷う——そんな方向けに、契約書チェックを依頼してから受け取るまでの一般的な流れを整理します

こんな場面で依頼されることがあります

以下はあくまで一般化した想定例です(実際の個別のご依頼内容ではありません)

ご依頼から受け取りまでの、一般的な流れ

  1. 契約書・発注書の共有:既にある文面や、これから使う予定のひな形を共有いただきます
  2. 論点の整理:権利の帰属、修正回数、納期、クレジット表記の要否など、確認すべき項目を洗い出します
  3. リスクの洗い出し・改善提案:発注側・受注側どちらの立場かによって、気をつけたい条項が異なります 立場に応じて気になる点をお伝えします
  4. 修正版のすり合わせ:提案をもとに文面を調整し、先方とのやり取りに使える形に整えます
  5. 締結:確定した契約書・発注書で締結いただきます

想定ケースで見る、依頼の中身

以下はいずれも説明のための架空の想定例です

ケース1:発注側として、外注契約書をチェックしてほしい

ゲームのキャラクターイラストを外注する場面です 「著作権の帰属」「修正は何回まで無料か」「二次利用(グッズ化・広告転用)の可否」など、後から揉めやすい項目を事前に明文化することを重視します

ケース2:受注側として、先方の契約書が不利でないか確認してほしい

個人のイラストレーターが企業から契約書を提示された場面です 著作権の「譲渡」なのか「利用許諾」なのかで扱いが大きく変わるため、既存の譲渡と利用許諾の違いを踏まえてどちらが提示されているかを確認し、必要な修正案をお伝えします

ケース3:継続発注する相手と、簡易な業務委託契約を結びたい

複数回にわたって発注する予定のイラストレーターと、都度契約ではなく基本契約書を1本結んでおきたい場面です 支払い条件・納品形式・秘密保持など、継続取引ならではの項目を整理します 従業員を使わず1人で活動するイラストレーターへ発注する場合は、フリーランス法(正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)により、仕事の内容・報酬の額・支払期日などを書面かメールなどで示すことが発注側に求められています(同法3条)

契約書チェックで、特によく確認する論点

論点確認のポイント
権利の帰属著作権が「譲渡」されるのか「利用許諾」にとどまるのか 譲渡の場合、翻案(元の絵をもとに手を加えて別の作品にすること)などの権利は、契約書に書いていないと作者に残ると推定されます(著作権法61条2項)
著作者人格権作者名を表示するか・勝手に改変されないか、といった作者本人の権利(著作者人格権)は譲渡できません(著作権法59条) そのため「行使しない」と取り決めるかどうか、その範囲を確認します
修正回数・追加費用無料修正の範囲、それを超えた場合の扱い
納期・遅延時の扱い納期の定め方、遅延した場合のルール
クレジット表記作者名の表記が必須か、表記場所の指定があるか
二次利用・改変の可否納品後、別媒体への転用や改変が許されるか

よくある質問(FAQ)

Q. 契約書がない・口約束だけの取引でも相談できますか?

A. 可能です むしろ口約束のみの状態から、書面化のご相談を受けることも多い場面です

Q. 先方との条件交渉も代わりにやってもらえますか?

A. 契約書の文面作成・整理のご相談は承っておりますが、代理人としての交渉(代理交渉)は事案により弁護士の領域となる場合があります(弁護士法72条=弁護士でない者が報酬を得る目的で、法律事件の代理・和解などを仕事として扱ってはならない、という規定) その場合は弁護士へのご依頼となり、その費用は別途かかります

Q. 海外のクリエイターとの契約もチェックできますか?

A. 対応可否は内容によりますので、まずはご相談ください

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