補助金の不正受給はどうなる? ― 返還・加算金・罰則の基本
補助金は税金を原資とするお金です 偽りや不正な手段で受け取った場合の責任は重く、返還だけでなく刑事罰の対象にもなります 国の補助金に適用される「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(補助金適正化法)の仕組みを見ていきます
不正が分かったときの流れ
- 交付決定の取消し 補助金を他の用途に使ったり、交付決定の内容や条件・法令に違反したりしたときは、交付決定(補助金を出すという国の決定)の全部または一部が取り消されることがあります(補助金適正化法17条) 支払う額が決まった後でも取り消されます
- 返還命令 取り消された部分について、すでに受け取った補助金の返還が命じられます(同法18条)
- 加算金 受け取った日から納付の日までの日数に応じて、年10.95%の割合の加算金を納めなければなりません(同法19条1項)
- 延滞金 返還を期限までに納めないと、さらに年10.95%の延滞金がかかります(同条2項)
刑事罰もある
| 行為 | 罰則 |
|---|---|
| 偽りその他不正の手段で補助金等の交付を受けた | 5年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、またはその両方(同法29条) 拘禁刑は、2025年6月から懲役と禁錮を一本化した刑罰です |
| 補助金等を他の用途に使った | 3年以下の拘禁刑若しくは50万円以下の罰金、またはその両方(同法30条) |
このほか、補助金の運用ルールとして、不正を行った事業者名の公表や、一定期間の申請停止などの措置が定められていることもあります
不正とされやすい典型例
- 見積書や請求書の金額を水増しする
- 取引先から代金の一部を戻してもらう(キックバック)
- 実際には行っていない取引や納品を報告する
- 交付決定の前に発注していたのに、日付を書き換える
「業者に言われるままにした」「みんなやっていると聞いた」という場合でも、申請者である事業者が責任を問われることになります
巻き込まれないための注意点
- 「自己負担ゼロで設備が入る」「必ず採択される」といった勧誘には慎重に
- 申請書類は、最終的にご自身の目で内容を確認してから提出する
- 報酬を得て補助金の申請書類を作れる人は、法律で限られています(行政書士法19条1項 行政書士でない者は、名目を問わず報酬を得て行政書士の書類作成の業務をしてはならない、という規定 ほかの法律で認められた士業などの例外があります) くわしくは小規模事業者持続化補助金の基礎で整理しています 資格のない業者に有償で書類作成を任せると、依頼した側も思わぬトラブルに巻き込まれるおそれがあります
よくある質問(FAQ)
Q. 間違えて対象外の経費を入れてしまいました 不正受給になりますか?
A. 故意でない誤りは、多くの場合、額の確定(使った経費を確かめて、支払う補助金の額を決めること)の段階で減額などの形で調整されます 気づいた時点で速やかに事務局へ相談することが大切です
Q. 地方自治体の補助金にも同じ罰則がありますか?
A. 補助金適正化法は国の補助金等(国の補助金を財源とする間接補助金を含む)に適用されます 自治体独自の補助金は、各自治体の条例や規則で定められています
Q. 不正を持ちかけてくる業者がいたらどうすればよいですか?
A. 応じないことが第一です その補助金の事務局や所管の省庁の相談窓口へ相談することもできます
ご注意(業際・免責): 本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません 補助金の要件・手続きは制度や公募回ごとに異なるため、必ず最新の公募要領をご確認ください 採択を保証するものではありません 当事務所(行政書士)は、申請書類の作成と手続きのサポートの範囲で承ります 税務の判断・申告は税理士、雇用関係助成金は社会保険労務士の業務です