阪竹行政書士事務所
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小規模事業者持続化補助金の基礎

公開 2026.10.24更新 2026.10.24 著者: 阪口智紀(行政書士)

「小さなお店でも使える補助金はありますか?」と聞かれたとき、まず名前が挙がることが多いのが小規模事業者持続化補助金です 小規模事業者の販路開拓等を支援する代表的な補助金とされていますが、公募回ごとに条件が変わるため、古い情報のまま準備を進めるのは禁物です この記事では、制度の骨格と注意点を整理します

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓(新しいお客様を獲得するための取り組み)や業務効率化に取り組む際、その経費の一部を補助する制度とされています チラシやホームページの作成、店舗の改装、新商品の開発・PRなど、身近な取り組みが対象になりうるとされており、小規模事業者にとって取り組みやすい補助金のひとつと位置づけられています

ただし、あくまで採択審査のある補助金です 経営計画書・補助事業計画書を作成して提出し、審査で採択された場合にのみ補助を受けられるとされています 申請すれば必ず受け取れる、という制度ではありません

対象となる「小規模事業者」とは

この補助金の対象は、その名のとおり「小規模事業者」に限られるとされています 一般的な整理としては、常時使用する従業員の数を基準に、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)では5人以下、宿泊業・娯楽業・製造業その他では20人以下の事業者が該当するとされています

個人事業主も法人も対象になりうるとされていますが、「常時使用する従業員」の数え方(経営者本人やパート従業員の扱いなど)には細かなルールがあるとされており、自社が対象に当たるかどうかは公募要領の定義で確認することが必要です 境界線上のケースは自己判断せず、窓口や専門家に確認するのが安全です

商工会議所・商工会の関与が大きな特徴

この補助金の際立った特徴は、地域の商工会議所・商工会が申請プロセスに関与する点だとされています 申請にあたっては、事業者が作成した経営計画について、地域の商工会議所または商工会から「事業支援計画書」の発行を受けることが求められるとされています

これは単なる手続き上のハードルではなく、計画づくりの段階から地域の支援機関の助言を受けられる仕組みと捉えることができます 一方で、事業支援計画書の発行には商工会議所・商工会側の受付締切(公募締切より前に設定されるのが一般的とされます)があるため、スケジュールは公募締切から逆算してさらに前倒しで組む必要があります ここは見落としやすいポイントです

どんな取り組みが対象になりうるか

公募回により対象経費の区分は変わりうるとされていますが、一般に例として挙げられることが多いのは次のような取り組みです

重要なのは、単に「モノを買う」ことではなく、販路開拓等の計画の中に位置づけられた経費であることが求められるとされている点です 経費が対象になるかどうかの細目は公募要領で細かく定められており、対象外経費の定めもあるため、支出の前に必ず確認が必要です

公募回ごとに条件が変わる ― 必ず最新の公募要領を

ここが本記事でいちばんお伝えしたい注意点です 小規模事業者持続化補助金は、これまで公募回(第◯回受付締切)ごとに、対象要件・補助上限・補助率・特別枠の有無・締切・提出方法などが変更されてきたとされています 電子申請の取り扱いや加点項目も回によって変わりうるとされています

そのため、インターネット上の解説記事(本記事を含みます)や過去に申請した際の記憶だけを頼りに準備を進めるのは危険です申請を検討する時点で、必ず公式サイトで最新の公募要領を確認してください金額や補助率についても、本記事ではあえて記載していません 公募回により異なるためです

参考までに、2026年10月24日時点で受付を控えているのは第20回公募(一般型 通常枠)で、公募要領は第8版(2026年7月21日改版)です 申請受付は2026年11月5日から12月15日17時まで、商工会議所・商工会の「事業支援計画書(様式4)」の発行の受付は12月4日までとされています(予定は変更されることがあります) 事務局は、商工会議所の地区(商工会議所地区の事務局)と商工会の地区(商工会地区の事務局)で分かれています ご自身の地区の事務局のページで、最新の公募要領をご確認ください

また、採択後も、交付決定(事務局が、補助金を出すことと対象の経費を正式に決めること)より前に発注・支出した経費は対象外とされる(公募要領では、発注・契約・支出は交付決定通知書に書かれた交付決定日から可能とされています)、実績報告を経て後払いで受け取る、といった補助金共通のルールが適用されるとされています採択は受給の保証ではなく、事業完了と報告までがワンセットと考えておく必要があります

支援を頼むなら誰に ― 無資格の有償代行は法律で禁じられています

補助金の申請支援をうたう業者は数多くありますが、報酬を得て業として書類を作成できる者は法律で限られています 制度そのものより見落とされやすいところなので、先に整理しておきます

令和8年1月1日から、条文に「名目を問わず」と明記されました

行政書士法が改正され(令和7年法律第65号・議員立法)、令和8年1月1日に施行されました 業務の制限を定めた第19条第1項に、次の文言が加えられています

行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合(以下略)

総務省の通知(総行行第281号・令和7年6月13日)は、改正の趣旨をこう説明しています

行政書士や行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、「手数料」や「コンサルタント料」等どのような名目であっても、対価を受領して、業として、官公署に提出する書類等を作成することは違法であるという現行法の解釈を条文に明示することにより、行政書士や行政書士法人でない者による違反行為の更なる抑制を図ろうとする趣旨によるものであること。

ここは正確に押さえておきたいところです
「今回の改正ではじめて違法になった」わけではありません もともと違法とされていたものを条文に書き出し、取締りを実効化したという位置づけです したがって名目が「コンサル料」でも「手数料」でも「サポート費」でも、扱いは変わりません この通知は各府省に対して無資格者の関与を防止する取組も求めており、窓口側の目も従来より厳しくなると見込まれます

罰則と、誰が対象になるのか

第19条第1項に違反した場合、1年以下の拘禁刑(刑務所に入る刑)または100万円以下の罰金と定められています(第21条の2) 法人の従業者等がその法人の業務に関して違反したときは、行為者を罰するほかその法人にも100万円以下の罰金が科されます(第23条の3・両罰規定)

誤解されやすいので、はっきり書いておきます
罰則の対象は「無資格で受託した側」です 依頼した事業者が処罰されるという規定ではありません

なお持続化補助金の事務局は民間の事業者とされているため、提出先という意味では「官公署」ではありません ただし行政書士法第1条の3は「権利義務又は事実証明に関する書類」の作成も業務に含めており、第19条第1項はその第1条の3全体を対象としています 作成する書類がこれに当たる場合は、やはり無資格での有償代行はできないと考えられます(弁護士・税理士など、ほかの法律に別段の定めがある場合は別です)

依頼する側にも、罰則とは別のリスクがあります

公募要領(第20回公募・第8版)の側にも決まりがあります 第三者の支援を受けた場合、支援料の支払いの有無にかかわらず、確認事項入力(様式2)に相手方と支援に係る金額(着手金・成功報酬その他名目のいかんを問わず)を記載する義務があります 記載がない場合は虚偽の報告として不採択・交付決定取消となる旨が明記されています

つまり支援者の名前と報酬額は申請書に載る前提です 公募要領は「提供するサービスの内容と乖離した高額なアドバイス料金を請求される業者等にご注意ください」とも呼びかけており、第三者支援者に対してヒアリングや現地調査を行う場合があるともされています

あわせて押さえておきたい4点

当事務所は行政書士事務所ですので、1点目の資格の問題は生じません そのうえでどこまでをお手伝いし、どこからは事業者ご自身に動いていただくかを、ご依頼の前にご説明します

よくある質問(FAQ)

Q. 申請すれば必ず採択されますか?

A. いいえ 採択審査があり、要件を満たしていても採択されない場合があります 採択率も公募回により変動するとされています 当事務所を含め、誰であっても採択を保証することはできません 「必ず通る」といった説明をする業者には注意が必要とされています

Q. 商工会議所・商工会の会員でなくても申請できますか?

A. 第20回公募の公募要領には、商工会議所・商工会の会員であることを申請の条件とする記載は見当たりません ただし、事業支援計画書の発行を受けるために地域の商工会議所・商工会とのやり取りは必要とされており、その受付締切にも注意が必要です 最新の取り扱いは公募要領と地域の商工会議所・商工会でご確認ください

Q. 補助金は先にもらえますか?

A. 原則として後払いとされています 採択・交付決定を受けた後、自己資金等で経費を支出し、事業完了後の実績報告と確定検査(使った経費が計画どおりか、事務局が書類で確かめること)を経て補助金額が支払われる流れです 公募要領にも「補助金は後払いです」と書かれています 立て替え期間の資金繰りも含めて計画することが大切です

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