阪竹行政書士事務所
相続

遺言執行者とは ― 遺言の内容を実現する人

公開 2026.09.27更新 2026.09.27 著者: 阪口智紀(行政書士)

せっかく遺言書を作っても、その内容は自動的には実現しません 預貯金の解約や名義変更など、誰かが実際に手続きを進める必要があります その役割を担うのが遺言執行者です どんな存在で、指定しておくと何が良いのか、誰に任せられるのかを整理します

遺言執行者とは何をする人か

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人です 民法上、遺言執行者は相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持つとされています 就任すると、一般に次のような職務を担うとされています

つまり、遺言という「設計図」を、実際の手続きという「工事」に落とし込む現場責任者のような存在です

指定しておくメリット ― 手続きが円滑になるとされる

遺言執行者がいない場合、預貯金の解約などの手続きは相続人が協力して進めることになり、書類への署名・押印を相続人全員から集める場面が増えがちです 相続人が遠方に住んでいたり、関係が疎遠だったりすると、これが大きな負担になります

遺言執行者が指定されていれば、執行者が単独で進められる手続きが多くなるとされており、全員の関与を待たずに遺言の実現が進みます また、2019年施行の民法改正により、遺言執行者がある場合には相続人は遺言の執行を妨げる行為をできないとされる規定が整理され、執行者の立場はより明確になったとされています

さらに、遺言による認知や、相続人の廃除・その取消しといった一部の事項は、遺言執行者でなければ手続きできないとされています こうした内容を遺言に盛り込む場合、執行者の存在は不可欠になります

誰が遺言執行者になれるのか

遺言執行者になれない人は、未成年者と破産者とされています 逆に言えば、それ以外であれば誰でもなることができ、相続人自身が遺言執行者を兼ねることも可能とされています

ただし、実際に職務を果たせるかどうかは別の問題です 財産目録の作成、金融機関とのやり取り、関係者への通知など、事務作業は少なくありません 相続人の一人を執行者にした場合、「特定の相続人が手続きを握っている」と他の相続人から見られて、感情的な摩擦の火種になることもあり得ます 中立的な第三者、とくに手続きに慣れた専門家を指定する選択肢が語られるのはこのためです

どうやって指定するのか

遺言執行者は、遺言書の中で指定するのが基本です(指定を第三者に委託する方法もあるとされています) 遺言書に指定がない場合や、指定された人が先に亡くなっていた場合には、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が遺言執行者を選任する制度があるとされています

なお、指定された人には就任を引き受ける義務まではなく、辞退することも可能とされています 指定する際は、あらかじめ本人の了解を得ておくことが円滑な執行につながります

行政書士を遺言執行者に指定することも可能です

遺言執行者には資格の制限がないため、行政書士を遺言執行者に指定することも可能です 当事務所では、遺言書の文案作成のご相談とあわせて、遺言執行者としての指定をお受けすることができます 書類作成や手続きに慣れた中立的な立場の者が執行にあたることで、相続人の負担や心理的な摩擦を減らすことが期待できます

ただし、執行の過程で不動産の相続登記が必要になる場面では司法書士が、相続税の申告が必要な場面では税理士が、それぞれの専門手続きを担うことになります 当事務所が窓口となって各専門家と連携し、全体が滞りなく進むよう調整します

よくある質問(FAQ)

Q. 遺言執行者を指定しないと、遺言は実現できませんか?

A. 執行者がいなくても、相続人が協力して遺言の内容に沿った手続きを進めることは可能とされています ただし、認知や廃除など執行者が必須とされる事項があるほか、相続人全員の関与が必要になる場面が増え、手間と時間がかかりやすくなります

Q. 遺言執行者への報酬はどう決まりますか?

A. 遺言の中で報酬の定めを置く方法があるとされ、定めがない場合には家庭裁判所が報酬を定めることができるとされています 専門家に依頼する場合の条件は、遺言作成の段階であらかじめ相談して決めておくのが一般的です

Q. 指定された執行者が先に亡くなっていたらどうなりますか?

A. その場合は、利害関係人が家庭裁判所に申し立てて遺言執行者を選任してもらう方法があるとされています こうした事態に備え、遺言書に予備的な執行者を定めておく書き方もあります

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