阪竹行政書士事務所
許認可

産業廃棄物収集運搬業許可の基礎

公開 2026.10.07更新 2026.10.07 著者: 阪口智紀(行政書士)

「工事で出た廃棄物を自分のトラックで運びたい」「取引先から廃棄物の運搬を頼まれた」――そんな場面で関わってくるのが産業廃棄物収集運搬業許可です 他人の産業廃棄物を運ぶには許可が必要とされる一方、自社の廃棄物を自分で運ぶ場合は原則不要とされるなど、線引きを誤りやすい分野です この記事では制度の基礎を整理します

産業廃棄物収集運搬業許可とは

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)で定められた種類のもの(廃プラスチック類、がれき類、汚泥、金属くずなど)を指すとされています 家庭から出るごみ(一般廃棄物)とは、法律上はっきり区別されています

そして、他人(排出事業者=その廃棄物を出した事業者)から委託を受けて産業廃棄物を運搬することを業として行うには、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要とされています 許可権者は原則として都道府県知事(一部の政令市等では市長)とされ、有効期間は原則5年と整理されています

なお、収集運搬業の許可には「積替え・保管を含む」場合と「含まない」場合があり、車両で運搬するだけの一般的なケースでは「積替え・保管を含まない」区分で申請することが多いとされています

「積み地」と「降ろし地」それぞれの都道府県の許可が必要とされる

この許可で特に注意したいのが、許可の地理的な範囲です 産業廃棄物収集運搬業の許可は、廃棄物を積み込む場所(積み地)と降ろす場所(降ろし地)のそれぞれを管轄する都道府県の許可が必要とされています

たとえば、大阪府内の工事現場で廃棄物を積み込み、奈良県内の処分場へ運んで降ろす場合には、大阪府と奈良県の両方の許可が必要になるというのが一般的な整理です 単に「通過するだけ」の都道府県の許可は不要とされていますが、積む・降ろすという行為が発生する場所については、それぞれ許可を受けておく必要があります

このため、営業エリアが複数の府県にまたがる事業者は、あらかじめ運搬ルートを想定して、必要な府県分の許可を計画的に取得していくことになります

自社の廃棄物を自分で運ぶ場合は原則不要という線引き

一方で、排出事業者が自らの産業廃棄物を自分で運搬する場合(いわゆる自社運搬)には、収集運搬業の許可は不要とされています 許可が必要なのはあくまで「他人の廃棄物を業として運ぶ」場合です

運搬のかたち許可の要否(一般的な整理)
自社の事業活動で出た廃棄物を、自社の車両で運ぶ原則不要とされる(自社運搬)
他社から委託を受けて産業廃棄物を運ぶ必要とされる
建設工事の下請として、現場で出た廃棄物を運ぶ必要とされる場合が多い(下記参照)

ただし、自社運搬であっても、飛散・流出の防止や車両への表示、書面の備え付けなど、運搬に関する基準は守る必要があるとされています 「許可が要らない=何のルールもない」ではない点に注意が必要です

建設業でとくに注意 ― 下請の運搬は「他人の廃棄物」とされる

この許可が建設業と深い関わりを持つのは、廃棄物処理法上、建設工事から出る廃棄物の排出事業者は原則として元請業者と整理されているためです

つまり、下請業者が「自分が施工した部分から出た廃棄物だから自社運搬だろう」と考えて運んでしまうと、法律上は元請(他人)の廃棄物を運んでいることになり、収集運搬業の許可が必要とされるケースに該当しうるのです この点は誤解が非常に多いとされており、解体業・内装業・設備工事業など建設系の事業者が収集運搬業許可を取得しておく背景にもなっています

実際、建設業許可とあわせて産業廃棄物収集運搬業許可を取得しておき、元請からの信頼や受注機会の確保につなげるという考え方が広く見られるとされています

講習会の修了が実務上求められるとされる

許可の要件としては、一般に次のような点が挙げられます

講習会は開催日程や受講枠が限られている場合があるとされ、受講のタイミングが許可取得スケジュール全体を左右することも少なくありません 複数府県の許可を取る場合も、講習修了は共通して活用できるとされていますので、早めの受講計画をおすすめします なお、申請には所定の手数料がかかりますが、手数料は自治体・区分により異なりますので、各府県の公式情報をご確認ください

よくある質問(FAQ)

Q. 一般廃棄物と産業廃棄物は何が違うのですか?

A. 事業活動に伴って生じる廃棄物のうち法令で定められた種類のものが産業廃棄物、それ以外(家庭ごみ等)が一般廃棄物と整理されています 両者は許可制度も別建てになっており、産業廃棄物収集運搬業の許可があっても一般廃棄物を運べるわけではないとされています 取り扱う廃棄物がどちらに当たるかは、最初に確認すべきポイントです

Q. 下請工事で出た廃棄物を自分のトラックで運ぶのは「自社運搬」ですか?

A. 建設工事では排出事業者は原則として元請業者と整理されているため、下請業者が現場の廃棄物を運ぶ行為は「他人の廃棄物の運搬」に当たり、収集運搬業の許可が必要とされる場合が多いとされています 例外的な取り扱いもあるとされますが、判断を誤ると法令違反になりうるため、個別の確認をおすすめします

Q. 許可には有効期限がありますか?

A. 産業廃棄物収集運搬業の許可の有効期間は原則5年とされており、継続する場合は期限前に更新の許可申請が必要とされています 更新時にも講習会の修了(更新用の講習)が実務上求められるとされているため、期限管理とあわせて受講時期の計画も大切です

ご相談は阪竹行政書士事務所へ

堺・北野田を中心に、書類作成と手続きをサポートします まずはお気軽にご相談ください